海辺の町にて(小説のようなもの) | GUREDA'S CONFESSIONS

GUREDA'S CONFESSIONS

グレダの告白・懺悔録です。

夜が明けると部屋は海の底のようである。

濃藍色の窓から町が、明け方の淡い光の中で広がっていくのが見える。

家並みはまだ濃灰色の夜の底に横たわっているが、海流はその青い流れをあらゆる場所に侵入させる。

窓や柱や壁の隙間から、隣家の万年塀や、その向こうに見える巨大な爬虫類の背中を思わせる屋根の群れや、薄暗闇の中で銀色に光っている置き忘れられた梯子の下を通り、流れは寝台やピアノの内部の並べられた白いフェルトで覆われたハンマーや、暗い回廊に飾られている絵画の横腹を撫ぜながら内部へと侵入してくる。

部屋の中のあらゆるものの輪郭が明瞭になる頃、窓の外では灰白色の街路が廃墟のように走るのが見える。